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「....たから...」
かすれるような小声でようやくアクルが口を開いた。
「あッ?今なんて「俺はずっと海賊になりたかったんだ!!」
「は?」
いきなりのアクルの発言に2人は唖然とする。
しかしそれにお構いなしにアクルは続けた。
「俺...まだ赤ん坊の時、子売りにあの酒場に売られて、それからずっとあそこで下働きさせられて来たんだ。
着る服もボロボロのつなぎを縫い合わせだけだし、飯も毎晩トウモロコシのカスだった。
殴られても蹴られても他に行くとこなんか無いからただひたすらに我慢し続けてきたんだ。
だけど、俺が8歳の時。
一船の海賊船があんた達と同じ丘の裏に現れたんだ。
見つかった時は殺されるかと思ったけど、そいつ等俺の格好をみてすぐ自分達の持ってる食料や衣服分けてくれたんだ。
俺、それがスッゲー嬉しくてさ、そいつ等に仲間に入れてほしいって頼んだんだ。
でも、俺まだガキだから無理だって。
もう少しデカくなったら乗せてやるって。
俺、それを信じてそん時はアイツ等を見送ったんだ。
けど、その後で
アイツ等が港沖で海軍に潰されたって聞いたんだ。
信じたくなかった!!
けど
見ちまったんだ
公開処刑でつられてたの
間違いなく
アイツ等だった。
そのうち、海軍基地までできて益々海賊船が入りにくい島になっちまったんだ。
でも俺は諦めずに毎日時間が出来たらあの丘に立った。
またいつか海賊船が身を隠しに来るんじゃないかって!!
そして
ついに見つけたんだ!!
あんた達の船を!!」
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