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「ハンカチ、ティッシュは入ってる。財布に時計はしてるし・・・」
シュッシュッ
「うわ!キツ!」
部屋中に甘ったるい、得体の知れない匂いが充満したことで目が醒めた。
あれから数日。
「よし!遊園地とかマジ久々ぁー・・・」
苦無は当日になって自分の中にある、変なスイッチが入っているのを感じていた。
それは多分、日頃は抑制している"本来の自分"。
あんなバカやそんなコトをしなかったら、きっとそこに居たはずの日常の私が。
部屋を見渡す限り、イロイロやってくれた訳だな。
「私はこれから"人殺し"をしに遊園地に行きます。ムダな"おされ"は要りません。付け爪とか外して行きます・・・」
なんだかんだ、手の込んだ準備のリセットをしていたら、なんと短い針が一周しているじゃないか。
「まぁコレくらい・・・時間も押してるし・・・ねぇ?」
リボンの編み込みだけはそのままに、私はやっとのことで愛車に跨った。
「よし、行くよ・・・」
今日は追われませんように。
例えどれだけ浮かれていようと、フルフェイスを被る前に。
そう祈るのだけは忘れなかった。
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