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重い目蓋を擦りながら歩く街並みは、すっかり活気付いていた。
頃は9月
時刻は12時
しつこい残暑に目を細目るのも、後何日だろう。
この黒コートが目立たなくなるのもまた、その日まで。
それまでは街路樹の影に肖らないと、熱中症で倒れかねない。
「お願いしまーす」
「あ、ども」
どことなく、焦点を合わせないまま歩いているとポケットティッシュを半分押し付けられる形で渡された。
三個も。
取り敢えず全部サイドポケットにしまっておく。
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