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「入江さんは……?」
「……何?」
「入江さんの気持ちは?」
確かめたいんだ、私はただ。
入江さんの口から、ちゃんと私と面と向かって言ってもらいたい。
「……これ、ドッキリじゃない?
また演技だとか言わない?」
「違います。
言いません」
「じゃ、言うから10秒待って」
上げた顔をまた俯き加減に戻し、はー、と息を吐く入江さん。
シン……とした玄関に、どこかの部屋の時計の針の音さえも聞こえてきそうだ。
「由奈」
ふいに手を握る強さが増し、顔を上げ直した入江さんが下から呼ぶ。
「大好き。
由奈のことが。
かなり好き」
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