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 どんなに深く、果ての無い霧の中にいても、それがどんなに過酷で、苦痛で、耐えられない物だとしても、お前の事なんか知った事では無いと言わんばかりの無慈悲さで時はすぐそばを流れている。  つまり、俺が恋の病を患っている間に中学を卒業しなければならない歳になってしまったと言う事だ。  何もしなかった三年間。唯一変化があった事と言ったら身長が30センチも伸びた事くらいか。140センチだったガキが170センチになったからといって中身までもが変わる訳では決してないのだ。  そして、中学生を卒業すると言うことは例の通過儀礼が行われることを意味していた。  例の将来の夢だ。ここで俺はある二択を選ばなければならない。  すなわち『自転車に乗って日本一周』と彼女との勝手な思い出に浸るか。他の夢を書くかである。
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