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 すると、どうだろうクラスで平均より少し上なだけの彼女がクラス、いや学年で一番可愛く見えてしまうから不思議だ。  もはや、何らかの魔法である。  ともあれ、彼女に惚れてしまった俺にさっそく不幸なお知らせがあった。  それは彼女と違う中学校に通う事が決定していたことである。  彼女は私立の中学に行く事が決まっていた為だ。  俺は嘆いた。これは神の試練かなんなのか?彼女が他の中学に行くことを知った時に、『あっそ』と興味がない返事をしてしまったことの報いなのか?だが、あれは仕方の無かった事なのだ。なにしろその時は彼女の魅力に気づいていなかった。今の思いのままに過去に戻れるならばそんな反応はしないと断言出来る。しかし、過去を変えられない事は赤ん坊でも知っている事実だ。そもそもこんな発想をしてしまっていること自体に問題がある気がするが、考え出すと切りが無いので置いておく事にする。  そして、12歳の俺は自己嫌悪と開き直りの堂々巡りを散々した結果、導き出したのは、家が隣だから大丈夫だろうと言う非常に楽観的な物だった。
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