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だが、現実がそんなに甘いはずがなかった。
『行ってきまーす』
彼女が家を出る声で目を覚ます。そんな日常が始まったのだ。
良く良く考えれば当然の結果なのだ。彼女は私立の中学校に通うため、俺よりも早めに家を出る。
朝くらいは一緒に歩く時間も有るだろうと高をくくっていた俺はその出来事に最初の壁を感じた。
しかし、帰宅時に偶然会うことも有るだろうし、休日だってある。
話したり、遊んだりするチャンスは山ほどあるはずなのだ。
実にバカな考えだった。今になればそれが良くわかる。
学校、部活、塾、友人関係、中学生においてそれらは家が隣と言うことよりも重視される事だったのだ。
朝練があったサッカー部に入部して、時間を合わせようとしたけれど彼女も部活を始めた様でさらに朝早くなった。
休日に遊びに誘おうとしても隣町まで遊びにいく予定を随分と前から取り付けとおり、そんな隙はなかった。
それに男友達と仲良く遊ぶ年頃では無くなって来ていたのだ。
その事に薄々感じ始めていた俺は中学生活3ヶ月目で彼女の事を忘れる努力を始めた。
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