153人が本棚に入れています
本棚に追加
「絵美ちゃん…私…無くしちゃったの。おばあちゃんに貰った御守りを無くしちゃったの」
目からポロポロと、涙がこぼれ落ちていく。壊れた蛇口みたいにとめどめなく流れる。教室の床にシミが1つでき、2つでき、やがて1つの円となる。
「おばあちゃんに、絶対に無くしたら駄目だって言われてたのに…私…」
泣いてるあたしを見て、絵美ちゃんは慌てて言った。
「泣かないで、久美ちゃん。私も一緒に探してあげるから、ねっ!?」
「でも…そんなの悪いよ…」
「大丈夫。それに一緒に探した方が、早く見つかるでしょ??だから一緒に探そうね」
絵美ちゃんの言葉は優しさが詰まっている。その優しさがあたしを落ち着かせる。瞳はまだ涙でうるうるしたままだけど……
「ありがとう、絵美ちゃん……」
「全然いいよ!!私たち友達でしょ??友達が困ってたら助けるなんて当たり前じゃん。よしっ、早く探そ!!」
友達……。私たちは友達なんだ。困ったらお互い助け合うような仲なんだよね。
「うんっ!!」
あたしは大きくうなずいた。声には元気が戻っていた。
最初のコメントを投稿しよう!