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ジェットコースターで落ちるみたいに、気分が落ち込んでいく。ヒューッて下がっていく。
もう目の前真っ暗。そんな気分。
絵美ちゃんがそっと肩に手を置く。
「大丈夫??」
心配そうというよりは、少し反省しているような声色で久美に声をかけてきた。
「カラスが来たら私のこと置いて、さっさと逃げたくせに……」
ちょっとだけ拗ねてた。少しだけいじけてるんだ。だって1人で逃げるなんてズルい。
「ゴメンね」
本当に悪そうに言われた。
「……いいよ」
素直に謝られたら許してあげなきゃいけないって思った。心の底から許すことは出来ないけど、一応許してあげた。
「ありがと!!」
絵美ちゃんは満面の笑みをつくる。太陽みたいに明るくて、百合のように上品な笑顔。絵美ちゃんの笑顔は、あたしを元気にしてくれる。意地悪な気持ちを吹き飛ばす。ただ、ちょっと羨ましいなって思う。だって、あたしの笑顔は絵美ちゃんとは全然違う。月とスッポン、松茸とエノキぐらい違う。
「許してあげるかわりに、お守り絶対に見つけてよ~」
ちょっと意地悪な口調で言ってみても、絵美ちゃんは私の気持ちに気付かない。鈍感なのかな……。もう小学校での付き合いも6年を越えるけど、いまいち絵美ちゃんのことは分からない。凄く笑顔が綺麗で可愛くて、優しいってこと。あとあたしと絵美ちゃんは親友だってことだけしか。
「うん、分かってるよ!!」
だからその笑顔はセコいって。心の中で1人ツッコミをいれながら、絵美ちゃんの手に引っ張られて私は立ち上がった。
お守りを探すために……。
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