深い霧 温かい声

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心を読まれたことにドキッとした。 どうしてあたしの考えたことが分かったのかな……無意識に口に出してたとか??そんなはずはないよね。 というより、ここはどこなんだろう。 「ここは、あなたの心の中の世界よ」 「心の中の世界……??」 「そう、ここはあなたの心の中の世界」 心の中の世界…… もし本当にそうだとしたら、どうして霧で曇っているのかな……どうしてお花畑とかが広がってないのかな…… あたしの心の中には、 もっと面白くて綺麗な世界が広がっている。 そう思ってたのに…… 「どうして私の心は霧で曇っているの??」 相手に自分の考えていることが伝わっているのは分かっている。でもあえて口で尋ねてみた。彼女があたし自ら尋ねるのを待っている気もしたから。 「お花畑が広がっていないのが不思議なんでしょ??」 顔が見えないから表情は分からないはずなのに、なぜだか優しく微笑みかけられた気がした。 彼女の言葉の1つ1つに、温かみや優しさが満ちていて、彼女の表情までもが言葉を通して伝わってくる。
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