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あの日は、小学校の創立記念日で休みでした。
私の家は、母が夜の仕事でしたので、休みの日は昼前迄、ゆっくり寝ている事が多かったのです。
階下で、母の呼ぶ声で目覚め、何気なしに襖を見た時、白い襖に、ザンバラ髪の侍の生首が浮かんでいました。
初めてでしたわ…幽霊を見たのは…。
不思議と怖くはなかった。だって、子供心に幽霊は夜中に出るものだと…まさか、昼前に出るなんて思いませんでしたから。
ただ、私はその生首を見つめていました。消えてしまうまで…そう、時間が止まっているような感覚でしょうか?ふと、我にかえると、侍の生首は消えて白い襖があるだけ…幽霊を初めて見た日。
そして、その夜…。
私は休みでも、母は仕事ですから、いつものように9時には2階な自分の部屋に行き休みました。部屋の明かりはつけたままで…。
何時頃だったのでしょう?ふと、目覚めると明かりが消えていました。
暗闇の中、(お母さんが帰ってる)と思い安心したのですが…
何かが違うのです。
ガチャガチャ!ガチャガチャガチャ!
又、鳴りだしたのです。やはり、台所から…
母が居るのに?でも、以前も母が居る時に鳴ったし…でも、何故こんなに不安なんだろうか?
説明のつかない不安が、込み上げてきて、私は隣接する 母の部屋に…
確かめたかったのでしょう。
母が、仕事から帰っているから部屋の明かりは、消されていたんだ…母はきっと疲れて眠り込んでいるんだ、と思いながら
そっと静かに母の部屋の扉を押した。
階下では、まだあの音が鳴っていました。
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