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いつからか、祖父の姿が見えなくなりました。
幼い私は、特に気にする事もなく過ごしいたように思います。
えぇ…アレ、ですか?
祖父がいなくなってからは。余りでてこなくたって…でも、あの夜に…私が四国での最後の夜の事でした。
祖母とお風呂に入って、身体を洗ってもらっている時、ふと、風呂場の小窓に目を向けた時、小窓から見えるものは、ただ漆黒の闇。いつもなら月明かりで、ほんのり薄青白く映しだされる風景が、黒いモヤに包みこまれたように…アレ、がいる。アレ、が私を見ている…恐怖で泣き出しそうになった時、祖母が(明日、お母さんに会う前におじいちゃんの所に行こうね)と。
私は、ただ頷くだけでした。アレ、はまだいる…
私を見ている。
その夜は中々寝付けず、隣に寝ている祖母は、深い眠りに入っていました。私は、ぼんやりと薄暗い天井を見つめながら、顔も覚えてない母の事を思っていたような…
そんな時、何かが天井を這うような…ズッ、ギシッ、ズズッ
何かが…天井にいる!這いながらこっちに来る!
ミシッ、ズズッ
(おばあちゃん!)と、叫び隣を見ると…いない?いない!何処?
私はフトンから跳び起きようとした時、アレ、が私の足元にうずくまるように…いつの間に天井から降りてきたのか。
いつもなら、目をつむり、耳を塞ぎ、でも今は…目は暗闇のアレ、を見つめ、耳はあの不気味な音をハッキリと聞いている。
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