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今思えば生レバーのような…。
また私は、祖母に手を引かれて、港に。フェリーに乗り、電車を乗り換える待合室で、祖母が、大きなガハンの中から、林檎をだして、タオルで拭いて(お腹空いたろ?食べ。)差し出された林檎を受け取り、(おじいちゃんの林檎…)一口かじった…サクッと音をたてた。甘酸っぱかった。しょっぱかった。
私は泣いていた。訳も分からず涙が溢れて…祖母は私の涙をタオルで拭いながら
(なきなやぁ…おかぁさんに会えるから…忘れてしまい…四国の事は忘れてしまい)
祖母の言葉を聞きながらも、私は(おじいちゃんの林檎、赤い林檎)(頭、撫でてくれた…嬉しかった…)でも(アレは何?)(あの赤い物は?)祖母に 聞きたい事があるのに…
目的の電車が来たのか、祖母はアナウンスを聞き
私を立たせようとしながら、私の耳元で…
(あれを、食べたんか?)一瞬なんの事か解らず黙っていると、(まぁ、いい…仕方ない…そのうち、解る時が来る…)それが、祖母の最期の言葉です。
どこで、母親と会い、いつ祖母と別れたのか、覚えていません。
そして、二度と会う事もありませんでした。
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