0人が本棚に入れています
本棚に追加
どうやら俺は嫌われているらしい。
なぜかは知らない。
知ろうとも思わない。
ただ、休み時間中も誰ひとりとして声をかけてくれないのは、流石に淋しい。
――放課後、俺はやはり一人で家に向かう。
家までの道のりは、舗装されていない砂利道。
そこをひたすら自転車で進んで行く。
「……ホントに何も無いんだよな」
左右を見渡しても、畑か田んぼか平屋の家がちらほらあるだけ。
祖父の家は、代々農家を継いでいたらしい。
この村で生まれ、この村で死ぬ。
それが『普通』だったらしい。
ただし、親父だけは違った。
家を飛び出し、都会に身を投げたらしい。
結婚し、俺が生まれるまで、どれだけ壮絶な人生を辿っていたのか俺には分からない。
そんな過去を抱えながら、全くその気配を伺わせなかった親父を、俺は好きだった。
最初のコメントを投稿しよう!