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鍵をチャラチャラ鳴らしながら振り回し、大野は三階にある自宅へ向かう。
淡い青で塗られたドアの鍵穴に、手に持っていた鍵を差し込み、取っ手を引っ張りドアを開ける。
約十年間続けて来た動作だけに、微塵の迷いも無かった。
玄関に靴を脱ぎ捨てる時、ふと、朝の母との会話を思い出す。
車に気をつけて、や、行ってらっしゃい等、たわいもない、よくある会話。
朝の出来事を思い出しつつ、大野はリビングにあるテーブルに、鞄を置く。
その時、ヒラリとなにかが落ちた。
「――?」
紙だ、一枚の紙。
拾い上げ、見てみると、そこには――
――大野の人生を変える、たった三行の文が書かれていた。
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