第一章『タイムトンネル』

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「……え~、a=2 b=3 c=9、これを解の公式に当て嵌めるとこの解は……おい、そこの東京もん」 ……夏休みが始まる時期がズレるとは聞いていた。 けど、それでも学校へ来る日が増えるのはどうかと思う。 「おい、東京もん。聞いているのか」 「……なんでしょう」 木造建築の校舎に、でかい黒縁眼鏡で時代遅れの髪型の教師。 机や椅子に鉄が使われていなければ、戦前と間違えてしまいそうだ。 外では蝉が喧しく鳴きわめいている。 「ここの問題を解け。去年の範囲だからな、出来ない訳無いだろう?」 「……はい」 立ち上がると、教師は汗でベットベトのチョークを渡して来た。 気にはならなかったが、水分を含んだチョークは、思っていたよりも濃い色を黒板に刻んだ。 書き終わり、黙って席に向かうと、一瞬、教師が忌ま忌ましそうな視線を向けて来た。 ああ、暑い。
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