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「生徒は各自の寮へ向かい、荷物を置き次第再び体育館に集合してください」
昇降口で先生のような方が大きな声で案内をしている
「白薔薇寮あっちだってー」
「ラッキー近いじゃん」
多くの生徒が白薔薇寮へ向かい、
私は一人昇降口に残された
(どうしよう…寮の場所が分からないよ…)
初めて来た場所でイキナリの一人行動は私には無理だった
どこを見ても知らない景色で、赤薔薇寮らしき建物は見つからない
いつまでも寮へ向かわない私を不思議に思ったのか、先ほどの先生は私の元へ近付き、尋ねてきた
「どうしたのですか?早く寮へ向かわないと入学式に間に合いませんよ。白薔薇寮はそこを真っ直ぐ向かってから左へ…」
「あ、あの!いや…えっと。その…私白薔薇寮じゃ…」
白薔薇寮の場所を案内された私は慌てて先生を止めた
「私は赤薔薇寮なのですが…場所がわからなくて」
この私の言葉に先生は酷く驚き
その表情はみるみるうちに焦りに変わっていた
「もっ、申しわけ御座いません!!赤薔薇寮は複雑な場所に在りまして。
今案内させますのでどうか今しばらくお待ち頂いても宜しいでしょうか?」
「えっ?あ、はい。ありがとう…ございます」
急に変わった先生の態度に違和感と不安を抱く
やっぱり赤薔薇寮は何かあるんじゃないか
先生の言葉から少し経って、それでもまだ先生は帰ってこない
そこに突然一人の可愛い男の子が私の前に現れた
(え?)
「何してるの?寮に行かなきゃ入学式間に合わないよ?」
その男の子は私を上目遣いで見つめると首を傾げ、さも可愛らしく尋ねてきた
(凄く…可愛くて、綺麗な人だな)
男性相手に“可愛い”なんて失礼かもしれないけど、身長も私と対して変わりはないし、女の子みたい…。
「ねぇ?返事くらいしてよ」
「へっ?」
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