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口元に手を当てて自分が立っていた場所にうずくまる
初めての知らない場所で
私を守る人は誰一人居なくて
これから私を襲うという何かが私の不安を恐怖に変えた
普段は私の側に嫌というほど付きまとうボディーガードが居て
緊張するような事は何度も体験したことはあるが、ボディーガードが側にいたことにより恐怖を感じた事が無い私
そんな私を攻める何か
赤薔薇寮はこれから私に何をしてくるのかが怖くて仕方がない
押し寄せる吐き気と恐怖の中、私は自己嫌悪に陥っていた
(私ってこんな弱い子供だったんだ…。)
彼の涙が…。
初めて見た男の人の涙の重さが私を待つ赤薔薇寮は決して良い場所で無いことを示していた
考えれば考えるほど辛くなる
私を待ち受けるものが怖すぎて…。
「…う…ぇぇ…ゲホッ」
喉まで来たソレは私の口内を独特な臭いで充満させ、吐き気を一層引き立てた
(もう無理…)
すると早く吐き出したいと願う私に向かって声が放たれた
「大丈夫ですか!?」
声に反応して顔を上げると、顔が酷い程美しく整った一人の男子生徒とさっきの教師が私の前に現れた
「すいません…気分が悪くなってしまいまして…」
口元に当てた手を離さずに私はまた下を向く
「君…大丈夫?保健室にいった方がいいですよ」
男の人の言葉に軽く頷き、ゆっくりと立ち上がる
(うぅ…こんなかっこいい男の人の前で恥ずかしい)
そんなことを思いながらヨロヨロとしている私を見つめ、男の人はこう言った
「この生徒の荷物は俺が運んでおきます。先生は生徒さんを保健室に連れていってください」
吐き気に耐えられず、私はお礼を言いそびれながら保健室へ急いだ
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