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in 保健室
「ゲホッ…ゲホ…ッ!」
保健室に着いた途端、差し出された洗面器に私は勢いよく恐怖を吐き出した
保健医の先生は私の背中をゆっくりさすってくれる
「……ッ……」
掠れる喉の痛みを水と共に流し、吐き気はどんどん引いていくのが分かった
「…ご迷惑を御掛けしてすいません。」
呼吸を整えてから私は頭を下げて教師と保健医に謝った
私が謝ると二人は慌てて私の顔を上げさせた
「あ、謝らないで下さい…!では私はこれで…」
そう言って教師はそそくさと保健室を後にした
畏まるような態度に違和感を覚えた。
「保健の先生にもご迷惑を…本当にごめんなさい」
「あの、私も全然大丈夫ですので…それよりもう大丈夫ですか?入学式は欠席なされた方が宜しいですがどういたしますか?」
保健医の態度もどことなく緊張している
この先生にも私が赤薔薇寮だと知られたのだろう
赤薔薇寮…。
赤薔薇寮のことを考えるとまた吐き気が襲ってくる
このままじゃあ保健医の言う通り入学式には到底出席出来ない
仕方無い…保健室で休ませてもらおうかな
「まだちょっと気持ち悪いので此処に居ても良いでしょうか」
「大丈夫ですよ。ベッドの用意をするので、良くなるまで寝ていて下さい。私は入学式に出席しなきゃいけないので…ごめんなさいね」
ベッドの用意をしながら保健医はそう言う
テキパキと用意されたベッドに私は通され、身体を倒す
「じゃあ私は行きますが、辛くなったらすぐに私を呼んで下さいね」
「はい」
保健医を見送ると私はゴロンと寝返りをうった
「赤薔薇寮ってどんな所なんだろう。」
思いもよらぬ返事が返ってくるとも知らずに私はポツリと呟いた
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