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「日和お嬢様朝でございます。」
「……ん…。分かりました」
今日は入学式
メイド長に起こされ、私は瞼を擦りながら制服に着替える
天気は生憎の雨
私の気分もあまり晴れやかとは言えない
「怖いなぁ…」
身にまとった制服と生活品の入った大きなバッグを見つめて私は呟いた
“一度入ると魂を狩られて二度と出ることが出来ない”
この噂は胡散臭くて私も半信半疑。
だけど“三人の悪魔が居る”という噂は本当らしい
そして私は今日からその三人の悪魔が住む寮で生活するのだ
「ばか親父。」
ことの始まりである父に悪態を着きながら私は自室を後にした
自分で言うのもアレだけど私は他のご令嬢と比べて口が物凄く悪い
上品の欠片もないと思う
だけどそれが私の良いところだと主張しているから気にしてないんだけどね。
「御馳走様でした。」
「あ…日和…」
朝食を終え、いよいよ家を出ようとする私に母が話しかけてきた
「どうしたの?お母さん」
体調が優れないのか顔色が悪い母は母の隣に座る父をチラチラ見ながらどもり気味に口を開いた
「あ…いや…、たまには電話とかして下さいね。心配ですから」
やっぱり体調悪いんじゃ…
「うん…。分かったけどお母さん顔色悪いよ?風邪に気を付けてね。
じゃあ行ってきます」
それだけ言うと私は足早に家を出た
父とは最後まで話さなかった
何故か話せなかったのだ。
父の目が、態度が、全てが、不適に見えたから。
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