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現在の時刻は8時5分。
犯行予告を過ぎても、何の異変も起こらなかった。
警部はタンザナイトが警備員の一人に変装しているんではないかと疑ったが、一人一人殴り倒してもその正体を明かすものはいなかった。当然である。誰も変装しているものはいなかったのだから。
「ふん。タンザナイト、この俺に恐れをなしたか」
上山警部は笑うと、煙草を床に落とし、吸殻を足で踏みつけるとその場を去ろうとした。
そこにある美術品は、依然として美しい輝きを誇っていた。
殴り倒されてその場に転がっている警備員達(館長含む)とは対照的な輝きであった。
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