プロローグ

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 君は、この地球上に二つとない宝物を知っているか?  世界中のいたるところに、それは眠っているものだ。  あるときはエジプト、またあるときは南米、そしてあるときは中国の砂漠の中……。  その中に一つに、それはあった。  ”ディープレッド”。  熱く滾る血よりも、燃え盛る炎よりも深く、美しい紅に輝く宝珠。  それは長い間、某国の美術館に厳重に保管されていた。    だが、ある日それは、忽然と姿を消してしまった。  君がもし怪盗なら、それを見つけ出して手に入れてみたいと思わないか? ――  情報屋からの手紙を見終わった彼は、眼鏡を直し、口元に笑みを浮かべる。  そして、彼はこう呟いた。 「……さて、今日はどんな手口で盗もうか……」  その表情からあふれ出す知性。  そう、彼の通り名は『タンザナイト』。  その卓越した頭脳を武器に、華麗なる盗みを我々に魅せ付けることが出来るのか?  
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