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「『秘宝ディープレッド、いずこへ……?』か……」
上山警部は新聞を読みながら熱い緑茶を啜っていた。
世界にまたとない秘宝『ディープレッド』の喪失は、世間の話題となった。
この頃から、世界各地で『怪盗』を名乗るものが急増したのである。
まさに世界は『大怪盗時代』へと突入したといっても過言ではない。
新聞各紙は面白おかしく、
『ゴムのような体質を持った怪盗登場の噂』とか、
『世界各地の怪盗を戦い合わせ、最後まで勝ち残った怪盗が怪盗界の覇権を握る怪盗ファイト開催!?』とか、
『みんな、怪盗やろうぜ!』など、
ありもしない上に何処かで聞いたようなフレーズで怪盗記事を取り上げる始末である。
「ともあれ、最近『怪盗』と名乗る奴が多いからな、この俺の腕がなるってもんだ!」
茶碗を置き、新聞を握りつぶす上山警部。
その時、新聞紙の中から一枚の紙切れが彼の目の前に落ちてきた。
警部はそれを拾って読んでみた。
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