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―― 大都会美術館 ――
「あ……あのー……」
館長は恐る恐る上山に声を掛ける。
上山は堂々と煙草を吹かしながら、館長を睨みつける。
「何か?」
「館内は……禁煙になっておりまして……」
鋭い眼光で上山はこう返す。
「煙草なんて可愛い物じゃないですか。私の背中のロケットランチャーに比べたら!」
そう、彼の背中にはロケットランチャーが物々しく輝いていた。
それだけではない。
胴体にはダイナマイトが十数本巻きつけられており、右腰にはサブマシンガン、左腰には手榴弾3本、そして口には煙草。
そんな彼を見て警備員が呟く。
「今日の警部、かなり本気だよな」
「ああ、でもその格好で煙草って……警部ある意味無敵だよな……」
警部が不敵に笑う。
「近づいたら容赦なくぶっ放すぞ! ワハハハハハハハハハハ!!」
警備員は更にこう続ける。
「でも、そもそも七つの海の秘宝って……何だろう?」
「さぁ? 今この美術館の催し物に、海に関わるものって無いし……」
既に時計の針は午後8時を8分過ぎていた。
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