タンザナイト 絶体絶命

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 彼の名前はタンザナイト。  頭脳明晰で、華麗な盗みを信条としている怪盗である。 「さて、今夜も華麗に盗むとしますか」  高級スーツを纏い、夜の街へと繰り出そうとするタンザナイ ト。  その時である。 「お待ち下さいお坊ちゃま」  背後から彼を呼ぶ声に、思わず振り向くタンザナイト。  その視線の先には、一人の老紳士の姿があった。 「じいやか。一体どうした?」 「どこへ行かれるのですか?」  じいやと呼ばれた男の問いに、タンザナイトは涼しげな表情を浮かべてこう返す。 「勿論、大都会美術館さ」  この事を聞くとじいやは笑顔を浮かべて『お気をつけ下さい』とお辞儀をする。  なぜならこのじいや、今はタンザナイトの執事ではあるが、昔は名を馳せた大怪盗だったという噂もあるのだ。  だが、今日のじいやは少し違っていた。 「……いけませんな、今日と言う今日は行かせる訳には参りませんぞ」  そのじいやの只ならぬ眼光に、タンザナイトは戦慄を覚えた。 「一体どうしたと言うのだ!?」 「いくらお惚けになられても、今日と言う今日は許しませんぞ!」  そして、じいやは何かをタンザナイトに突きつけた!  それは彼にとって、恐るべきものであった!
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