タンザナイト 絶体絶命

5/7
前へ
/101ページ
次へ
「一体どうしたの? そんな息を切らせて」 「い……いや、少し飲んだら帰るつもりなんだが……」  焦るタンザナイトの腕を取るガーベラ。 「たまにしか来ないんだから、ゆっくりしていきなさいよ」 「いや、ゆっくりするつもりもないんだが……」  たじろぐタンザナイト。どうやら彼はガーベラが苦手のようだ。 「そうだ、お腹すいているでしょ!  今特製のホットドッグ作るわね」 「あ……僕急用思い出した……」  その時である! 「坊ちゃまぁぁあああ!」  店のドアが開くと同時に、叫び声が響く! 「あ~ら、いらっしゃい……って、じいやさんじゃないですか~」  凍てつくタンザナイト。  咄嗟にソファーの陰に身を隠す。  だが、まさにこの状況は『絶体絶命』であった! 「ああ~、これはガーベラ殿。騒がしくして失礼致しました。  ところで、坊ちゃまはおいでですか?」  じいやのその声に、ガーベラは笑いながらこう返す。 「ええ、あそこのソファーの陰に隠れてますよ」
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加