ある一組の恋人がいた…

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=苦しいよ、うん、知ってる= 滑るようななめらかな肌とか。 口から零れ出るあざやかな言葉とか。 優しい性格とか…。 とても大好きで、愛おしくて。 それを独り占めしているときがとても幸せで…。 気持ちよかった…。 暖かいぬるま湯の中にいるようで…。 ゆっくりとゆっくりとどこかがふやけていった。 そう、幸せでした…。 いつからですか。 貴方に触れられなくなったのは。 いつからですか…。 貴方の甘い言葉を聞けなくなったのは。 いつからですか…。 貴方の優しさが私じゃ無い人に向けられ始めたのは。 誰ですか…。 隣にいる女の方は…。 なんで、私じゃだめだったのですか…。 私は貴方の為ならなんでもできたのに…。 好きだって囁く事だってできるのに…。 愛してるっていつでも言えるのに…。 貴方を傷つけようとする人も消せるのに…。 キタナイ現実を見せないように出来るのに…。 貴方を誰にも見せないように閉じ込めてあげられるのに…。 なんで。なんで。なんで。なんで。 私の心は重いのですか。 愛してるって気持ちだけじゃ、報われる事は無いのですか…。 そんな女の人を見ないで下さい。 私を見て下さい。 それでも。 心の中では分かっているから。 もう、貴方は私の物ではないのだと…。 だから。 その綺麗な喉に手をかけて。 グッと力を入れるのです。 「く、苦しいよ…」 「うん、知ってる。。」 最後に聞こえた好きという台詞は、きっと幻聴… これで、彼は一生私のモノ…
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