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「何故・・・・?」
「心配をかけたくありませんでした。本当は一番あなたに隠したかったのですが・・・・・」
景人は辛そうだった。
璃杏は今にも泣きそうな表情をする。
「なんで・・・!ちゃんと言ってくれたら・・・!!」
景人は璃杏を見てふっと微笑む。
「あなた様に言えば必ず何としてでも私を助けようとするでしょう・・・・?」
「当たり前よ!!」
璃杏は即答する。
「こんな老いぼれ・・・・。かまわなくてよいのです。あなた様にはまだ未来があります。」
「景人さんがいなかったら・・・・。未来なんてない」
璃杏の頬に透明の雫がこぼれる。
「大丈夫です。あなたはお強い方、私がいなくてもちゃんと未来を切り開くことはできましょう」
一つ、一つ、景人の言葉が璃杏の心に響く。
わたしは強くなんかないよ。
景人さんに頼ってばっかりだわ。
でも・・・・・。
もう一人で自立しなくちゃいけないわ・・・。
景人さんを・・・・安心させなくては・・・・。
「わたし、頑張るから」
「はい」
にこっと二人は笑う。
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