肆章-守護神

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「今すぐじゃないと駄目なのか?」 俺は頭を掻きながら男に尋ねた。 「ああ、早いに超したことはない。 できれば今すぐにでも出発したい」 後ろを振り向くと香が不安そうな表情でオロオロしながらこちらを見ていた。 俺は一旦男の方に向き直り、口を開いた。 「ちょっと準備をしたいから1時間くらい待ってくれ」 「解った。なら1時間後集落の入口で待っている」 そう言って男は俺に背を向けて歩いていった。 「さてと…」 俺は改めて香の方へ振り返り、近くまで行く。 「心配掛けてしまってすまなかったな」 俺がそう言うと、香はフルフルと首を横に振った。 「謝ることはないですよ…零司さんが無事で良かったです…。 でも、行ってしまうのですか?」 香は少し残念そうな顔をして俺を見た。
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