壊れた世界 始まりの章

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 魔物も黙って狩られる訳ではなかった。世界を壊し、生態系をも破壊し、自らの欲に駆られて暴虐の限りを尽くした人間が憎かった。  世界が軋みを上げているのは良く解った。なんとかしたいのに何も出来ない日々が続いた。自らを養ってくれている世界に感謝していた。恩返しがしたかった。なのにヒトは世界を壊した。  世界を壊しただけに飽き足らず、ヒトは世界が壊れたのは自分達のせいではないとして、責任転嫁の為の戦争を繰り広げた。  その行為を見た動植物達は怒りに震えた。自らの愚行を認めようとはしないヒトに殺意を覚えた。  ある時、壊れてしまった世界は、動植物達にある贈り物をしてくれた。  魔力という力を手に入れた動植物達は歓喜した。これで人間達に裁きを与えることが出来る、この力で世界に恩返しが出来ると思った。  それを思うと、魔力に因る強制的な肉体改造にも耐えることが出来た。  そして、動植物達は短期間で独自の進化を遂げ、ヒトに襲い掛かった。全ては世界の為に、世界に恩返しをする為に。  ヒトはヒトのためだけに、動植物は世界のためだけに行動を起こした。  勝利を納めるのは『欲』か『恩返し』か。それは神のみぞ知る。  魔力は有限。壊れた世界には全てを満たす無限の魔力を作り出すのは不可能だった。僅かずつしか供給出来ない魔力を、ヒトは大量に使う。  魔物は世界のことを考え、使う種族を決め、他は極力使わないように努力した。  ヒトはまた過ちを繰り返すのだろうか。
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