壊れた世界 第一章

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 他に生き物が居ないところと先程の言葉から、男と会話していたのはこの翼蛇種のようだ。  男が黙々と肉とにらめっこしてる時、その魔物は一つの問いを口にする。 「でさー、これからどうすんの? 街に行く? それともまた放浪する? ボクはどっちでも良いけど、スタンが決めてー」  そう言われた男―スタン=ラグノーチェフは暫し考える。街に行くにしてもこの翼蛇種という種族の魔物の対処に困る、かと言って放浪するにしても食糧難になる。実際、この状況は放浪の末、食糧難に陥りやむ無く近くにいた竜を狩って食料としたからだ。  考えが纏まると、翼蛇種に向かって今後の方針を告げる。 「街に行こうと思う。フィル、お前はどうする?」 「どうするもこうするも着いてくよー。幸い、人型にもなれる身だしねー。実は」  その言葉を聞いて、スタンは思わず手を止め、目を見開きながら翼蛇種―フィルを凝視する。 「おまッ、それじゃ今までの俺の苦悩は何だったんだよ! 出来るなら早く言えよ!」 「うん。ごめんねー。疲れるからあまりやりたくないんだー」  反省の色が薄い返事だ。それを聞いたスタンは、がっくしと頭を垂れた。どうやら諦めたようだ。 「それよりもさー」 「それよりって、お前なフィル」 「お肉焦げてるよー」  その言葉に、目の前の焼き肉に視線を移すと、そこには炭化しかけて燻っている竜の肉。肉の焦げた独特の匂いが一人と一匹の鼻を突く。
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