壊れた世界 第一章

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 良い意味で頼りにされてる。悪い意味では他力本願。フィルの場合は確実に前者と言えよう。たまに悪巧みもするが、それは単なるおふざけだ。基本は良い奴なのだ。  ただ、その分スタンの負担が増えるのは事実だが、それは仕方ないとして負担を強いられている本人は諦めているようだ。  フィルは外見からしても、のほほんとした雰囲気を漂わせている。見る価値観を変えれば『可愛い奴』とも言えるだろう。  スタンは、そうは更々思っていないようだが、それでもこの雰囲気に助けられたこともあるので、少なくとも友としては見ているようだ。 「そういや、フィル。お前って食事は摂らないのか?」  それなりに長い付き合いだが、フィルが食事をしている場面を見たことがないのだ。前々から気になっていたのと、先程の信頼の言葉に対する照れ隠しの意味合いも含めての質問のようだ。 「うんー? ボクたち魔物は二種類に分かれるよ。食事が必要な種と必要ない種。ボクは後者だよー」 「なんで必要ないんだ?」 「んとねー。魔力が使える種は、大気中の魔力を身体に取り込むから食事する必要がなくて、魔力が使えない種は食事を摂ることによって栄養を摂るんだってー。そんな話聞いたよー」  魔物の生態は解っていない部分が多い。人は魔物を容赦なく狩るため、大まかな情報しか必要ないからだ。  仲間を呼ぶか、魔力は使ってくるか、弱点はどこか程度しか必要ないため、その詳しい生態について研究すらしないのだ。  魔物は殺ったらそれでおしまい。次に行く、ということを繰り返しているが、相手を真に理解してこそ終止符を打てる。だが、ヒトはそれをしない。  ヒトと魔物の争いはそうやって泥沼の一途を辿っている。
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