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「…… で、その話を信じろと?」
ミントと仲良く手錠に繋がれた俺は、変態に呆れ気味に聞く。が、変態も呆れ顔で、
「いや、信じるも何も、見えているじゃろ?」
確かに見えている。軟禁された部屋。その一角、一面ガラス張りの大窓からは地球が見えていた。だが、
「CGか何かだろ」
フゥ、と肩を竦(すく)める俺を、ミントがイヤイヤと涙目で首を振りながら訴えるも、
「行っといでー」
軽い掛け声で二人して投げ出された。
何のつもりか知らないがこれで逃げれる。思い、足枷になるミントを横抱きにして、顔を真っ赤にした彼女と視線が合った。その視線が勢いよく首ごと逸らされる。
「?」
何だコイツ? 疑問に思うが今は走ろうと、足に力を込めるが…… 入らない。てか、何か痺れる。
よくよく考えれば、体も熱い。こう煮られる感じで。いやいやいやいや、あれ? くそっ! 息苦しいな。
マジか? マジで此処が月面だと。だとすればコイツも。
視線をミントに向けると、何やらボンベらしき物を口に当てていた。
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