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「安心しろ。あの人はお前のようなじゃじゃ馬でも美しいものならなんでもいいらしいからな。……良い噂は聞かないが、家柄は確かだ」
それを聞いて心なしか青ざめる。一人、心当たりがあった。
「まさか……」
その名を言おうとしたとき、コンコンとノックが響く。
「失礼します。レイファント様がお呼びです。お嬢様を連れて来てほしいと」
「―――ッ!!」
「ああ、今行こう。………もう後は全てあちらに任せてある。お前がこれからどうなろうと私は知らん。魔法はあちらで解いてくれるだろう」
父親がそう言うと同時に身体が勝手に動き出す。口を開くことが出来ず、最後に罵声を浴びせることも叶わなかった。
レイファント。
彼のことは悪い噂しか聞いたことがない。
彼は美しいものが好きだ。
人間でも動物でも、誰にも見つからない所に閉じ込めて、狂おしいほどの愛情を注ぐ。
ただ、彼が何よりも好きなのは、美しいものから流れる―――深紅の血。
彼は美しいものを愛して、血を流して、痛め付ける。
それが息絶えるまで。
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