13/24
前へ
/262ページ
次へ
驚くライに、ノアはむっとする。 「女が剣持って何が悪い?言っとくけどそこらの男より強いからね」 「へえ~!すごいんだな、ノア!」 きらきらとただ純粋に尊敬の眼差しを向けてくるライに、ノアはう、と言葉に詰まる。 軽蔑や嫌悪の眼差し以外をここの人たちは向けてくる。それだけには未だに慣れきれずにいた。 「………ん?」 小さく、ライが声をあげる。 先程までとはがらりと雰囲気が変わり、双眼鏡をのぞいてじっと遠くを見る。 ノアもじっと水平線を見つめると、しばらくしてから黒い点が見えてきた。 あれは?とノアが問いかける前にライが声をあげる。 「前方に船発見!!多分海賊船だっ!!」 ライが叫ぶと、すぐに船員たちが船室から出てきた。手には武器を持っている。 「ノア、危ねぇから船室に引っ込んでろ」 「わ、わかった」 ノアは言われた通りに見張り台から降り、船室に駆け込む。入り口でルズとはちあわせた。 「おう、ノア。ちっとうるさいかもしれねぇが、気にすんな。俺の部屋に隠れとけ」 「は、はい……」 剣を片手に颯爽と歩くルズの背中はとても頼もしかった。だから安心してノアは船室に向かったのだった。
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

124人が本棚に入れています
本棚に追加