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驚くライに、ノアはむっとする。
「女が剣持って何が悪い?言っとくけどそこらの男より強いからね」
「へえ~!すごいんだな、ノア!」
きらきらとただ純粋に尊敬の眼差しを向けてくるライに、ノアはう、と言葉に詰まる。
軽蔑や嫌悪の眼差し以外をここの人たちは向けてくる。それだけには未だに慣れきれずにいた。
「………ん?」
小さく、ライが声をあげる。
先程までとはがらりと雰囲気が変わり、双眼鏡をのぞいてじっと遠くを見る。
ノアもじっと水平線を見つめると、しばらくしてから黒い点が見えてきた。
あれは?とノアが問いかける前にライが声をあげる。
「前方に船発見!!多分海賊船だっ!!」
ライが叫ぶと、すぐに船員たちが船室から出てきた。手には武器を持っている。
「ノア、危ねぇから船室に引っ込んでろ」
「わ、わかった」
ノアは言われた通りに見張り台から降り、船室に駆け込む。入り口でルズとはちあわせた。
「おう、ノア。ちっとうるさいかもしれねぇが、気にすんな。俺の部屋に隠れとけ」
「は、はい……」
剣を片手に颯爽と歩くルズの背中はとても頼もしかった。だから安心してノアは船室に向かったのだった。
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