不機嫌

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何度かの寝屋を共にしたある日の朝、ヒロはボソリと僕に言った。 「おまえ、俺をいつ抱くの?」 それは僕の中で決めていた事。 『自分の中の問題が解決するまで、ヒロを抱かない』 その”問題”の内容を僕はヒロに話していなかった。 その為、彼に不安を抱かせたしまったようだ。 「やっぱり、汚いとか思ってるのか?」 「まさか、それはないです」 「…どうせお前の事だから、何か企んでるんだろ?」 「企んでるなんて、酷い言い方ですね」 「ふん」 温かな温もりだけを寝具と僕の腕に残して、ヒロは部屋を出て行った。 はー・・・かなり、機嫌が悪いですね・・・ 「チャミー!!!」 無邪気な笑顔と共に僕の元へやってきた少年は、有無を言わずベッドの上に上がってきた。 「ソンギュンですか。おはよう、今日も元気だね」 「チャミ、パパたちがねーっっ!!」 またケンカでもしましたか? まったく、順風満帆に事が進みすぎて気が緩んじゃいませんか? 兄さんたち? 「どうかしましたか?」 「イチャイチャしてる」 はー・・・せめて子供の前では普通で居て欲しいものです・・・。 その覚悟あっての『養子縁組』でしょうに・・・。 僕は、ソンギュンを胸に抱いて、この子の親となった2人の所へしぶしぶ向かう。 昼日中から、キスの嵐ですか? これはまた熱帯気候なことで・・・ 目の前で繰り広げられるいやらしいともとれる光景にソンギュンの目を塞いで、僕はわざと聞こえるように咳払いをする。 「ゴホンッ!」 「あ?チャミか」 「なんだよ?邪魔しにきたのかよー」 「まさか。そんな事して僕になんのメリットがあるって言うんです?ソンギュンが困って僕のところに来たんですよ」 「あー、そうだったのか。ごめん、ごめん。ソンギュン、駄目じゃないかチャミもヒロとイチャイチャしてたら困るよ?」 あの…ミキ、論点が違うんじゃないんですか? 「チャミもヒロとイチャイチャするの?」 ほら、いらない素朴な疑問を抱かせる。 と、いうより教育上子供の前で・・・いや、僕が言ったところでこの人たちはやめないのだろうな・・・ 僕は、胸からソンギュンを床に下ろして、いまだ向けられる疑問のまなざしに困惑しつつ諦めと共にため息をついた 「ヒロは僕の伴侶ですからね。ソンギュンのパパ達と同じですよ」 「へぇー、ラブラブなんだね!」 ・・・いったいどんな子育てしてるんだか・・・
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