不機嫌

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ヒロを救い出したあれから、随分の月日が流れていた。 人口対策組織の規模もかなり拡大され、一度修理されたソウルドリーマーの再就職先として新設されたソウルドリーマー育成機関への就職口が用意された。 僕とシアは今そこでソウルドリーマーの教官として働いている。 暇を持て余していたシアにとっては格好の遊び場だ。 僕は、『名も無き機関』に所属しつつ二束の草鞋を履く形となった。 そして、また数点新しい法律が可決されていた。 人口対策組織が組織されてもなお減り続ける人口に苦渋の決断だと僕は考えるのだけれど、同姓同士の婚姻が許され、また、生存してる人間および修理された魂の養子縁組が容認された。 この法案が通ったとたん、ミキとシアは婚姻届を出しソンギュンという孤児と養子縁組の手続きをした。 あまりの決断の早さに、僕もユノも驚いた。 ただひとり、ヒロは違う事を考えていたようだけど。 僕が休日の昼下がりを、ベランダで読書をしつつ過ごしているとユノがコーヒーを運んできてくれた。 「ありがとうございます」 「よけいなお世話だと思うんだけど…」 「はい?」 「お前、ヒロとはどうするんだ?」 「どう・・・とは、どういう意味ですか?」 「ミキやシアを見てて何も思わないのか?」 「あぁ…。素直にうらやましいとは思いますがね…」 「歯に物のはまった言い方するな?何か問題でもあるのか?」 今日のユノは質問が多いな…少々嫌気がさす… 「そいつは俺に飽きてんだよ」 声の主はヒロ まったく…どうしたらそんな考えが出来るのやら… 朝からの不機嫌はまだ収まっていなかった訳ですね? だからといって、どうしてそんな考え方になりますかね? ひねくれてるのはわかっていた事でしたが、たまには僕だって疲れます。 「ヒロ…」 言葉が続かない 呆れて物が言えない そんなところでしょうかね ・・・そろそろ、決着をつけなくてはいけませんね。 僕の『問題』を ヒロがこれ以上ひねくれた顔をするのは見たくないですからね
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