はじまり

2/6
前へ
/74ページ
次へ
ゆっくりと目を開く。 青い空が、やけに高く見えた。 (……俺…… なんでこんな所にいるんだっけ) 頭を押さえる。 なんでかわからないけど、ひどく頭痛がした。 この風景は近所の川沿いにある、見慣れた土手だ。 (……確か……) 「あ、起きました?」 「!」 突然覗き込んできた顔に慌てて飛び起きる。 見ると、やけに美人な女の人が口元に手を当てて、上品そうに笑っていた。 「頭。 葉っぱついてますよ」 「あ、え!?」 慌てて頭を払う。 それを見て、女の人はまたくすくすと笑った。 その笑い方に見とれてしまう。 本当にこんな笑い方する人、いるんだな…… それがまた、嫌味じゃなく雰囲気に合っているからすごい。 柔らかな茶色い長い髪。 水色のワンピースに、白いかぎ編みのベストを着ている。 大人しそうな、綺麗な人だった。  
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加