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病院に着くまでの車の中で不安に押し潰されそうだった
襲い来る睡魔と闘いかろうじて意識を留めている憐詞を抱き締め
「ごめんね…ごめんね…」と 繰り返す
憐詞が
「大丈夫だから」
と 小さな声で呟いた
ゆっくりと腕を持ち上げ
私の頭を優しく撫でてくれた
事務所からそう遠くない所にある病院の筈なのに
とてつもなく遠く
永遠に着かないのではないかと長く感じた─────
病院に着くと圭吾と私は
憐詞を支え入り口へ向かう
私の肩にある筈の憐詞の腕の重みが軽くなる
それと同時に
「代わりましょう」
と 言う声
逞しく長身の若い男
違和感なくすんなりと私に代わり憐詞を支え中へ入っていく
フッと憐詞は全身の力を抜いた
睡魔の手に堕ちたのだ
するりと抜け落ちそうになった
憐詞を両脇の男達は落とすまいと抱き止めた
そのまま若い男の方が抱き上げ
迎え出てきた医師と共に診察室に入っていく
後を私と圭吾が追う
圭吾が医師に詳細を話す
医師は診察しながら聞き
質問したり頷いたりしている
若い男は医師の傍らでそれを手伝っている
診察室の外に出された
椅子に座わり膝の上で掌を固く結び祈るようにその上に額を押し付けた
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