2・ 莉奈

1/7
前へ
/50ページ
次へ

2・ 莉奈

トップスターへの階段を登り始めた俳優を色で絡め捕る そんな 愚行を繰り返していた奈都子 憐詞をも その毒牙の餌食にと 度々、誘惑の手指を伸ばして来た 何度撥ね除けても諦めない 何故その粘り強さを仕事に生かさない?── 手に堕ちない憐詞に 業を煮やした挙げ句こんな愚行を打って来るとは、 思いもしなかった… してやられた── 今日 偶然 事務所で鉢合わせた奈都子は 憐詞の機嫌を取るように 自ら珈琲を入れ手渡した 一口飲み 顔を聢めた どうしたのかと思った時 奈都子が言った 「あら、不味かったかしら? ごめんなさい、私 インスタントの珈琲なんて入れたことがないから どれ位入れたらいいか分からなくて…」 色気を振り撒きながら宣った 『馬鹿女』 心の中で呟いた 憐詞はそれ以上 口をつけなかった
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加