67人が本棚に入れています
本棚に追加
2・ 莉奈
トップスターへの階段を登り始めた俳優を色で絡め捕る
そんな 愚行を繰り返していた奈都子
憐詞をも その毒牙の餌食にと
度々、誘惑の手指を伸ばして来た
何度撥ね除けても諦めない
何故その粘り強さを仕事に生かさない?──
手に堕ちない憐詞に
業を煮やした挙げ句こんな愚行を打って来るとは、
思いもしなかった…
してやられた──
今日 偶然
事務所で鉢合わせた奈都子は
憐詞の機嫌を取るように
自ら珈琲を入れ手渡した
一口飲み 顔を聢めた
どうしたのかと思った時
奈都子が言った
「あら、不味かったかしら?
ごめんなさい、私 インスタントの珈琲なんて入れたことがないから どれ位入れたらいいか分からなくて…」
色気を振り撒きながら宣った
『馬鹿女』
心の中で呟いた
憐詞はそれ以上 口をつけなかった
最初のコメントを投稿しよう!