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「…へぇ。」
それは、また。
「あんたの現状知られたら、叱られるわよ~。覚悟しておくのね。」
まずい事になった。
何故かしてやったりと得意気に笑う朱美に対し、僕は半目がちに さぞ興味がないといった顔で相槌を打った。
僕が無職だと、父さんは知らない。
大学を卒業し、そのまま就職して今も元気にバリバリ働いている。
今まで特に叱りの言葉を受けていないんだ。きっと、そう思っているのだろう。
父は厳格な人だから、気の弱い母さんも言えないんだと思う。
…まあ、まずいも何も。
内心は面倒臭い、の一点しか思ってないのだけれど。
帰ってくるなり”人間失格"だの”親不孝”だのと罵られるのだろう。
父の顔さえ思い浮かべれば、その口から発せられる言葉は安易に想像が出来た。
「で、結局。何で此処にいるかの答えになってないんだけど?」
然も興味ありません、とばかりに返せば朱美はつまらなそうに眉を顰め僕を見る。
正直一番つまらないと思ってるのは、勝手に部屋に入ってこられ 安眠を妨害され。
何故か綽綽と悪態をつかれている僕だと思うけれど。
「…可愛く無いわね、何でも何も。ちょっと頼みがあっただけよ。」
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