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声のする方へと足を進める。
路地を右に曲がって、それから突き当たりへ。
けれどもその先は行き止まりで、
「…何だ、これ。」
ぶつかったのは緑色の塀。
声はこの向こう側からするようだ。
僕は彼女を抱えたまま、その場で辺りを見回す。
目の前には緑の―…草で出来た高い塀。
それは右を見ても左をみても一緒だ。
この先に何があるのか、何処から中に入るのかなんてわかりもしない。
「ねぇ、何処にいったの?ラックー!」
女の子の声は先ほどより随分と近づいていた。
間違いなくこの先にいると思うんだけど―…
そう、思ったときだった。
「おい…ちょっと、何処行くんだよ!」
彼女はひょいと僕の腕から飛び降りると緑の、草で出来た塀―…正しくはその木々の間を潜り、いとも簡単にその中へ入ってしまったのだ。
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