僕の為の生誕祭

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″あれ、BIG誕生日なの?″ ″まじで、おめでとー!″ ″おめ~、次は私かなぁ。″ ″sazzは誕生日いつ?″ ″5月5日、子供の日!もうすぐだよ~。″ milkや、彼らとの何気ない会話のやり取り。 それは最近の僕の生活の一部―…いや、既に大半を閉めていた。 大学を卒業したのが何年か前かと思えば就職したのも随分前。 不景気で何処も雇ってくれなくて、割かし良い会社に親戚のコネで入れて貰ったにも関わらずそのまま上司と揉めて、3ヶ月で辞めてやって。 結局今は一年の殆どを留守にしている父の目を盗んで部屋からも出ず、ネットゲームに耽る日々。 最初こそ注意をしてきた母も、生来の大人しい性格から強くは言ってこない。 おかげで今じゃ部屋に運ばれてくる飯を中に招くときか、トイレに行く時位しかドアを開けることはない。 金もなけりゃ、女もいない。 だけど自由気儘、まさにフリーダム。 最近は開き直ってこれ程恵まれた暮らしも無いんじゃないのかって思いはじめてきた。 大体家にいれば金も使わないし女の子とデートする余裕も無い。 強がりかといわれれば嘘になる気もするけど、僕はこれでいいと思ってる。 ―本当は、良いと"思うようにした"のかもしれないけれど。
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