僕の為の生誕祭

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″おし、清算終わりっと″ ″おつかれ~″ フィールドのボスを倒し終わり、街へと戻ればそれぞれが戦利品のアイテムを分け合う。 その後は互い互いに、やれあのモンスターの倒し方だの装備品は何がいいだのの暫くの雑談を楽しんだ。 次いで飽きた頃にはテレビの話や、自分がはまっているアイドルの話。 現実世界で出会っていれば全く共通点がないであろう奴等の集まりだが、だからこそ話題には尽きなかった。 興味の無い話には「へ~」と三文字タイピングするだけでスルー出来るし、聞き役も人付き合いの苦手な僕でも然程苦痛にはならない。 ″じゃ、俺明日テストだしもう寝るわ″ ″大変だねぇ、学生さんは″ ″うるせー″ そうして一人、一人とぽつりぽつりキャラクターが画面から消えていく。 壁にかけられた時計を見れば午前3時を過ぎていた。 …充分、テスト前夜の学生も 仕事前の社会人も起きている時間ではないとおもうけれど。 無職である自分は置いておいて。 ”また最後はうちらか~。bigはまだ眠くないの?” ″おー。起きたの6時だしな″ ″えっ 早起きじゃん!目しばしばしない?″ ″バカ、18時だよ″ ″えー、ありえないんだけど!″ 最後に残されたmilkのキャラクターがけたけたと笑っている。 そんな電子キャラクターの動作にも口許は綻んで、僕は頬杖をついてパソコンとの距離をとった。
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