僕の為の生誕祭

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”サーンキュ、big。バッチリ登録したよ” それからたった30分の間。 言われるがままに携帯のメールアドレスを教えたらすぐに返事は返ってきた。 見れば携帯端末は同じ会社の様で、指摘すると”話し放題だね”と言われ僕はぽかんとした。 …そうか。 普段電話なんてしないから、そんな事忘れていた。 ”それじゃあ今日の夜、あけておいてね” ”え?” ”え、じゃないの。私は夜に備えて寝なくっちゃ” 言われて窓に目をやれば遮光カーテンの端から漏れる朝の日差し。 パソコンと向かい合うとつい忘れてしまう時間の流れに僕は苦虫を噛んだ様な笑みを零し、また指を滑らせた。 ”あ、嗚呼。おやすみ、milk” おやすみ、と短い返事と笑顔のエモーションが此方に向けられ彼女は光と共にディスプレイ上から消えた。 それと同時に天井に向かって大きく伸びをすればひとつふたつと肩慣らし。 「夜に備えて…か。」 現在、時刻は六時四十七分。 椅子の背凭れに体重をかけていた重い身体を起こすと僕は頭から布団にもぐりこんだ。
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