1st*ふたりぼっちの屋上で。

5/8
前へ
/369ページ
次へ
「つーか、そんなんでお前今までよくやってこれたよな」 呆れた顔で篠田くんが玉子焼きを口に運ぶ。 「昔は……家にお世話してくれる使用人の人……、えーとメイドさん?いたから……」 「メイド?前に家に行ったときはいなかったじゃん」 「んーと……、その人が不祥事っていうか……、家のお金盗んだことがあって、クビにしちゃったの。それからお父様が使用人を雇うの嫌がっちゃって……」 それ以来、今は家に帰っても私一人。 昔なら、メイドのお姉さんが迎えてくれたけど……。 「だから今いるのは、お父様についてる秘書だけで……」 「ふーん。変な家庭」 あっさり言われた言葉がグサッと刺さる。 どうせ……。世間知らずだし、料理だって洗濯だって何も出来ないもん。
/369ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51526人が本棚に入れています
本棚に追加