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確かに…そうなのかもしれないけど…、
周囲の人々の目には恐怖の色が伺える。
だがそんな中に私を憐れむ視線も混じっているのは事実。
自分でなくてよかった。
そう言っているような気がしてならなかった。
だが、自分が逆の立場なら…?
私は私のような境遇に会った赤の他人を助けようとしただろうか…?
そう思うと明確な答えを出すことができず、複雑な気分になる。
(…それにしても警備の人たちは何をしてるの…?)
辺りを確認してもそれらしい人はいない。
それよりもこんなに騒ぎになっているのに警備関係の人物が見当たらないことがすでに不可解だ。
なんで今気づいたんだろう…?!
そんな思考を読まれたのか、肥った男が不敵に笑い、口を開いた。
「派手にドンパちやるのもいいが…、先に潰しておきゃ無駄な弾を使うこともないだろ…クククっ…!!」
「…へぇ…!!賢いんだね。お兄さんたちって…!!」
最悪だ…。こうなってしまっては私の未来はない。
いや、捕まった時点で終わってるんだけど…!!!
「このまま…利用されて誰かを困らせるなら…、」
夢を叶えることも叶わないなら…、
死んでしまいたい。
その言葉が脳裏をかすめた瞬間世界が滲んだ。
「おやおや?泣いてるのかい?そう言うのはいいよ。煩わしいからね。」
少し…眠っててもらおうか
「――っ!!!」
振り上げられた銃で殴られると思い強く目を閉じた。
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