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その頃、
ココットはと言うと帝都に続く道を徒歩で進んでいた。
(確か帝都から試験日はバスが出てるんだよな。)
トリニティー学園は、どの大陸からも離れた孤島にあり、普通の方法では行くことができない。
そのため受験者は指定の時間に指定の場所でバスに拾ってもらい学園に向かう。
(ただ海の真ん中にあるような孤島だって聞いているのにバスで送迎とか…)
魔法とは奥深いものだ、とココットは改めて思った。
考え事をしながら歩き続けているといつの間にか帝都の入口についていた。
「そこの少年!入場するならパスを…おっ?!お前!ココットじゃねぇか!?久しぶりだな!!」
帝都の入口でそう声をかけて来たのは入場審査をする兵士だ。
良く見るとその人物には見覚えがあった。
帝都に住んでた頃の知り合いなのだが会うのは10年ぶりくらいだ。
「…?…あ、アース兄さん?!わぁ!!久しぶり!まだそこにいたんだ?!」
「う、うるせぇ…!色々あんだよ。俺だって!」
「色々って?」
「…子供は知らなくていい!」
ココットは身分証明書であるパスをアースに手渡しながら笑った。
「にてもよく覚えてたね。アース」
「は?」
「だって俺、忘れてたし」
アースはあのなぁ…とあきれたような声をだした。
「お前のその頭!大体が茶髪で前髪だけが金髪なんて印象に残る頭してる自覚はないのか?」
おまけに地毛なんだろそれ?とアースはココットの頭をポンポンと叩く
「そう言うことか…、確かに覚えやすいかもな」
アースからパスを受け取り、鞄にしまった。
「ところでさ。バスってここからどっちに行けば乗り場にいけるの?」
「バス…?あぁ。この正面の街道を進んでさらに広い大通りに出る。それからまたまっすぐ進めばいい。」
アースの指差した先には色んな建物が所狭いしに立ち並ぶ景色が見えるが目的地はここからでは確認できなかった。
「そっか。ありがと!」
礼を言い駆けだそうと街道に向き直すと遠出するのか?という質問にココットは少し答えるのに迷った。
「どれくらい遠いか知らないけど、トリニティー学園まで!今日試験なんだ!」
「へぇ。トリニティー学園にな……って、えっ?!!!?」
「あ、やべ。時間が…それじゃ!またな!!」
ココットはそう告げるとさっさと教えた道を駆けて行った。
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