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それと同時刻――…
「もう!!お父様!当日になってまで往生際が悪い!!!」
試験日だって言ってるのにどうして行かせてくれないの?!
それは晴れ渡る空の下。
都会の真ん中で響いた少女の声だった。
桃色の髪を右側に一つにまとめた少女は父親だと思われる人物に向かい、怒りをあらわににらみ合っていた。
「あのねぇ、ティナ。私は初めから魔法学校の入学なんか許可していないだろう?」
私の会社を継いでもらうには魔法なんかより他に習うことがたくさん…
「勝手なこと言わないでよ?!お父様の仕事柄、仕方なく礼儀作法や色んな習い事は散々したじゃない?!」
ちゃんと一通りできるようになれば魔法を習ってもいいって約束したのに!!
「それはお母さんとの約束だろ?私の約束では―…」
……ぶちっ
「もう…!!!うるさーーーい!!!!!」
断固として反対する父にティナは我慢ならず大声を上げた。
習い事ばかりしていた私がずっと憧れていたもの
それは魔法だった。
きっかけは習い事を始めるよりも前だった気がするが、
世界が広がり、何もかもが輝いて見えた。
どんな習い事より私は、ずっと魔法を学びたいと、思っていた。
「いくらお父様でも私の夢を全力で否定する権利なんかない!!!」
今日の試験に落ちたら言われた通りにするから…!!
「…行かせてください。」
ティナは深々と頭を下げお願い!と付け足した。
「…、」
娘ん頭を下げられ、さすがの父もここは折れることにした。
「わかった。だが、自分の言ったことは忘れるな。」
試験に落第したなら…いいな?
「…はい。わかってます。」
ティナの真剣な眼差しに少しばかり大人げなかったかと罪悪感を感じる。
それだけこの子も真剣だったんだと、感じて。
「…引き留めて悪かったね。頑張っておいで。」
「…!うん!!!」
ティナは嬉しそうに返事をし、すぐに駆けていってしまった。
「頑張るんだぞ。ティナ。」
遠くなる娘の背を見送りながら一言、そう呟き、家路についた。
――…
「……。」
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