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ドサッという鈍い音と痛みで、虚ろぐ意識が呼び起こされた。
"彼"はレコーダを、自分の膝に落としてしまった。
あまりの眠気に、手の力が抜けてしまったからだ。
「畜生」
痛む膝をさすりながら、レコーダを拾い上げる。
突然の刺激は、彼の意識を一時的に覚ましたものの、大きな欠伸を阻止することはできなかった。
「明日の朝、このレコーダの存在を忘れていないことを祈る。今やこれだけが、本当の自分を証明し、かつての心細い記憶を断片的に思い起こさせる、手段だから―――」
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